法師温泉 長壽館

弘法大師が発見したと伝えられる法師温泉は、標高800mにある自然に抱かれた一軒宿。
車窓から風情ある建物が見えた時には、思わず、「見つけた」と弾んだ声が零れてしまいました。
そこには、私が求めていた以上にレトロな空間がありました。

お宿

着いて早々。心くすぐる光景に、思わず足が止まります。
今このひとときでさえ、ゆっくりと進んでいるかのよう。どこまでもノスタルジックです。
自然の美しさと、人工物の調和・・・散策しながら、ふとそんなことを思いました。
小川のせせらぎは耳に心地よく、流れる水はどこまでも清らかです。

お宿 お宿

案内されたお部屋は、おそらくは田舎間の7畳半。 予算の関係で、一番お安いお部屋をお願いしました。
広くはありませんが、二人ならこれで充分。
トイレは共同ですが、部屋を出てすぐの場所にあったので、不便は感じませんでした。
部屋の入り口近くの窓下には、畳と繋がった形で出窓のようにして水場がついています。 どうやら蛇口から出るのは山の湧き水のよう。
好きな時に、冷たい山の水を好きなだけいただける・・・デザインも面白い上、粋なはからいだなあと思いました。

お宿 お宿

一息入れてから、弾む足取りで湯殿へ向かいました。
浴室は、三種類で、時間交代制となっています。
唯一カランのある「玉城乃湯」は、新しく建てられた野天風呂つきの大浴場。
歴史は浅くとも、檜の太い梁等迫力のある素晴らしい造りです。
天井も高く、開放感があって気持ちよく、また、カランひとつにしても遊び心が感じられました。
蛇口(?)まで木で出来ているなんて、こんな作りのものは初めて。 趣があってすごく気に入りました。

温泉は、正に湧き出でたばかりの山泉といった感じ。 パンチこそないものの、透明度が高く美しい湯です。
深めの浴槽の底には、川底のように丸石がごろごろしていて、肌触りのよい湯と共にいつまでも浸かっていたいと思わせてくれます。
繊細な湯に身をまかせ、ぼんやりと外を見やれば、夏の緑の美しさが目に染みて。 野天風呂については、私の中でその景観のひとつとなり、眺めるだけに終わってしまいました。
難があるとすれば、それは、季節。
夏の山といえば、虻。
湯から上がると途端に襲い掛かってくる奴らには、始終びくびくさせられました。
他には、洗い場の窓が全開ということもあって、落ち着いて体を洗っていられなかったのは少々残念でした。 開放感があるのはいいのですが、人目に対する配慮も欲しいかな。

「もしや今なら空いているかも」
ふと思いついて、女湯である「長寿乃湯」へ移動してみたら、なんと貸切状態。
小さな浴室ではありますが、こちらにはこちらの風情が。 しかも、窓を閉めてしまえば、虻に怯えることもありません。
浴槽の底には、やはり石がごろごろしていて、気のせいか湯もこちらの方がまろやかに感じました。
誰も来ないのをいいことに、縁に頭を乗せて湯に身を漂わせ、のんびりまったり人魚気分を味わわせていただきました。

お宿 お宿

夕食はお部屋で。
温かいものは温かい内に、冷たいものは冷たい内にいただけます。
また、旅館でありがちなお飾りな一品などなく、どれもが手をかけた心づくしの品となっているところも嬉しい。 全て美味しくいただけました。
先付けの焼いた根曲がり竹の素朴な味わいには、故郷を懐かしく思い出しました。

お宿

大浴場「法師乃湯」が女性専用の時間帯となるや、いそいそと向かいました。
この「法師乃湯」は、国の登録有形文化財。 また、国鉄時代のフルムーンポスターの舞台になったことで有名です。 私もそれを見て、一度は入りたいとずっと思っていたのでした。
浴室に入ってみると、中は行灯風の灯りが仄かに辺りを照らすだけ。
ぎりぎりまで絞られた灯り、静けさ。
時折聞こえる水音に、ようやく他に人がいることに気付かされる・・・言葉にするのが難しい風情です。
鹿鳴館調だという建物は、仔細こそ見えないものの、確かに貫禄ある佇まいでした。

朝は早めに起き出して、もう一度「長寿乃湯」へ行きました。
気のせいかもしれませんが、またまた湯の質が変わっているような気がしました。 昨日よりもさらりとしているような。

お宿

さっぱりしたら、お次は朝ご飯。
朝食もお部屋でのんびりといただけました。
優しいお味をかみ締めて、優しい時間が過ぎてゆきます。

そして、出立の時。
心なしか、目に映るものひとつひとつが別れを惜しむかのように見えました。
「また来るからね」
古びた建物に向かってつい約束してしまう、長壽館はそんな宿でした。

蛇足ながら。
浴場へ行く廊下の途中、自販機の置いてあるスペースの奥にマッサージ機が2台あります。
100円か200円だったか忘れましたが、コインタイマー式のものです。
このタイマー、マッサージ機自体のコース設定時間よりも長いので、 マッサージ機が止まってもリモコン操作でまだしばらくは動きます。 すぐ再スタートさせると、残り7,8分くらいは揉んでもらえますよ。

(2004年8月)

法師温泉 長壽館

住所 群馬県利根郡新治村永井
宿泊 1泊2食:13800円〜 
日帰り 800円 10:30〜13:30(要確認)
泉質 カルシウム・ナトリウム硫酸塩泉(石膏泉)
泉温/湧出量 43℃
PH他
宿泊情報
(外部リンク)
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