岳の湯温泉 豊礼の宿

以前、何かの番組で「地獄蒸し」なるものを知り、いつか行ってみたいと思っていた小国町。
地獄蒸しというのは、温泉の噴気を利用して山海の幸を蒸し上げる料理のことです。
小国町では、いたるところからこの温泉の噴気が立ち上っているのです。

地獄蒸しに舌鼓を打ち、尚且つ濃ゆい温泉も満喫できるような宿はないか。

探し求めて辿り着いたのが、ここ、豊礼の宿です。
コバルトブルーのお湯と地獄蒸し。しかも、GW中でも関係なしに低料金!
完璧だ、と思ったのでした。
が。
実際行ってみると、ここは万人におすすめするには少々ためらいを感じさせる宿でもありました。
因みに、私は面白くて気に入ったのですが、夫はお気に召さなかったようです。

まだ明るい内に宿に着き、おそるおそるフロントへ向かいました。
何故おそるおそるかと言うと、間違った場所へ来てしまったような違和感を覚えたから。 何かこう商売の臭いがしない。何かの施設のようで。
フロントには誰もいませんでしたが、私たちの後から入ってきたおじさんがどうやら管理人さんのよう。
「予約を入れていた××ですが」
「泊まれるよ」
ぞんざいな返事。しかも、微妙に会話が食い違っているような。
おじさんは、何を確認するでもなく、
「料金は前払いだから」
と一言。・・・予約表、とかは無いのでしょうか。
宿泊料を納めたところへ、従業員らしい若者が近付いてきました。おじさんが、彼に何か話し掛けます。

・・・・・・日本語じゃないんですけど。

二人は中国語で会話していました。しかも何やら緊張感漂っています。
おじさんは、途中でふと私たちのことを思い出してくれたみたいです。
「ヨウ!」
と、徐に鍵を差し出してきました。
びっくりしておじさんを見返すと、おじさんもはっとして、
「これ鍵。部屋はあっち」
と言い直してくれました。どうやらおじさんは中国人のようです。だから日本語がぶっきらぼうだったのかな。
そうすると、中国語で、『鍵』は『ヨウ』なのでしょうか。宿題が出来てしまいました。

部屋は洋室でした。 広々としているのですが、隅々までふんわりと暖かいです。 暖房にも蒸気を利用しているようです。凄いなあ。やるなあ、蒸気。
フロントでのやりとりで抱いた少しばかりの不安を拭い去るくらい、部屋は綺麗でした。
冷蔵庫とテレビあり。ポットにお茶もあります。でも、歯磨きはありましたが、タオル類と浴衣はなかったです。
この洋室の他に、和室や特別室というのもあるらしいです。

宿

早速、大露天風呂へ向かいました。 ラッキーなことに貸し切り状態でした。
噂通りのコバルトブルーの湯に、まず見惚れました。美しい・・・。
見晴らしもよく、なだらかに連なる山々を見渡せます。

湯に入ってみました。
気持ちいい・・・。
なめらかな肌触り。ゆったりと身体を伸ばし、極上の湯を堪能しました。
湯温は、源泉の温度が高い割にぬるめでした。一度入ると上がりにくいくらいの温度。
でも、上がった途端、身体がぽかぽかしてきます。いいお湯です。
後で知ったのですが、男湯は指先すら浸けられないほどの熱湯だったそう。夫は仕方なく宿の方に言って、調整していただいたとのことでした。

聞くところによると、このお湯はある程度の時間が経たないと、こんなに綺麗なブルーにはならないそうです。
なので、毎度入れ替える家族風呂では、この色は楽しめないかも。 別料金になるというので、その家族風呂には入っていないため、そちらの設備がわかりませんが、大露天風呂については、下記の通り。
シャワーなし。石鹸はありますが、シャンプー類なし。ドライヤー1つ。体重計なし。
100円式のコインロッカーあり。但し、100円が戻ってこないタイプです。

宿は食べ物の持ち込みが自由。施設の利用客なら、蒸し器も自由に使ってよいそうです。
つまり、晩御飯は好きなだけ地獄蒸し料理を楽しめる・・・ 何よりこれが楽しみだった私ですから、卵は平飼いの上等なものを家から持参していました。
他は現地調達を考えていたのですが・・・。
甘かった。
近くには、スーパーやコンビニなんて見当たりません。聞いていた通り、いたるところから蒸気が立ち上がり、微かに硫黄の臭いが漂っているのみ。
付近をさまよっている最中に見た看板には、「岳湯の地獄街」と書かれていました。
地獄街・・・。

どうにか見つけた「白地商店」の看板。が、時間が遅かったせいもあるかもしれませんが、鶏肉どころか菓子パンさえ見当たりません。小さなお店なのです。
とりあえず、朝食のことも考えて店内を物色し、結果、3本組の魚肉ソーセージを購入しました。

(ずっと夢見ていた蒸し鶏をあきらめなくてはならない上、晩御飯もあたらないのか)

しょんぼりしていると、目の前に、「蒸し鶏定食」の文字が。
ここ白地商店では、ご飯も食べられるのでした。やった!

蒸し鶏定食

蒸し鶏定食(塩焼き)は1000円也。添えられた柚子胡椒が嬉しかったです。
蒸し鶏の他には、山菜の天ぷらなどの山の幸。お吸い物には、蒸し卵がまるまるひとつ入っていました。 これが美味。黄身の色が濃いのが印象的でした。すごく鮮やかな黄色なのです。

翌朝は8時に起きて、ひとっ風呂浴びてから、外のベンチで朝食を取りました。
メニューは、蒸し卵と魚肉ソーセージ。
卵は弱火で5分くらいが丁度いいそうです(スタッフ談)
上手に蒸しあがって、美味しくいただきました。やはり黄身の色が鮮やかで濃いです。
蒸すと濃くなるのでしょうか。それとも、温泉成分のせい?
いやそれにしても、朝から卵3つってどうよ。

宿

朝早くから入浴に来ていた家族連れが、隣で朝食を摂りはじめました。
卵の他、さつまいもなんかも蒸しています。勿論、おにぎりやお茶も持参で。
くぅ。いいなあ。
お母さんが、取り皿やお箸をテーブルにセッティングしているのを横目に、
「お皿が欲しいなあ」
ぽつり、夫が呟きました。そう、うちは皿どころか箸も用意していなかったのです。
すまん。明らかに我が家は準備不足だったよ・・・。

子供達が、すごく楽しそうでした。 こういう施設が近所にあったら、ちょっとしたレジャーにいいかも。うらやましいです。

ふと、食堂の前を通ると、「水ギョーザ」という張り紙が。
食堂自体、稼動しているようには見えなかったのですが。もしかして、頼んだら作ってくれたのでしょうか。
う〜ん。気になるなあ。

ここは、宿と言うよりは、簡易宿泊施設なのだと割り切るといい気がします。 キャンプのようなノリで利用すれば、それは楽しく過ごせるのでは。
宿からのサービスは期待せずに、わからないことがあったら、こちらからどんどん尋ねるスタンスで。 言葉はぶっきらぼうなんだけれども、話し掛けるとすごくいい笑顔で色々教えてくれました。
そして、もし行くのなら、後悔しないよう必ず蒸し料理用の材料持参で。
ああ、鶏肉に、とうもろこし、さつまいも・・・食べたかったなあ。

(2004年4月)

岳の湯温泉 豊礼の宿

住所 熊本県阿蘇郡小国町西里
宿泊 1泊(平日)3800円 (土・日・祭)4800円 
小学生半額 小学生より下は無料
特別室は、1000円高くなる。
日帰り 大露天風呂500円 家族風呂1時間800円 
家族露天風呂1時間1200円 家族風呂の入浴料は、コインタイマー式
24時間 年中無休
泉質 ナトリウム-塩化物泉
泉温/湧出量 95.7℃
PH他 8.53 ラドン含有0.27×10-10ci/kg ラドン濃度0.08M.E/kg
詳細   じゃらん

わんこの満足度

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わんこの隠れ家温泉でまったり